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「なんだ、そんな事か。もちろん屋台の手伝いは頼むけど、ちゃんと全員休憩をとれるようにするし氷も……、大きいのを幾つか置いてってくれればなんとかなるだろうし……」
予想を大きく下回る難易度のお願いにほっと安堵する相一は、目の前の雪女がわなわなと身を震わせている事に気づいていない。
「ちっがぁぁあああああう!!」
ゴチィッ!! と、氷柱の拳が相一の顎を打ちぬく。しかも女の子の柔らかい拳では無く、厚い氷のグローブ付きで、だ。
「ぐぅ……ぉぉ……っ!」
三半規管を揺さぶられ膝から崩れ落ちる相一に対し、事務所のメンバー+詩織の視線は冷たかった。
「所長、いくらなんでも鈍感過ぎます」
「今のはさすがに……所長さんが悪いと思います……」
「探偵さんってたまにウルトラC級のミラクルかましますよね」
肉体精神共にボコボコにされ、地面に突っ伏した相一が首だけ動かし氷柱を見上げ、一言。
「あ、縞々」
ごグシャァ!! と、何かを、より正確には人間の頭を思い切り踏み潰したような音が聞こえた。
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