第3章

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「柑橘系の匂いに混じって発情した雄の匂いがすると思ったらそういう事か」 銀月が匂いの元へ辿り着いた際に目に入ってきたのは、今まさに貞操の危機に貧しているであろう一人の少女と彼女を衣服を乱暴に引き剥がそうとする少年の群れだった。 「あぁ!? なんだテメェ、飛び入り参加希望者ですかぁ?」 「したいっつっても入れてやんねーけどな! ぎゃはは」 銀月は人間の性事情に明るい訳ではないが、落ちかけとは言えまだ陽のあるうちから野外で、それも一匹の雌に対して雄は群れで行うのがスタンダードな交尾だとは思っていない。 思っていないが、 「お前ら、この辺の人間か? 天柳探偵事務所ってのを探してるんだが知ってるやつがいたら教えてくれ」 見知らぬ人間が、いつ、どこで、だれと交尾していようが自分には関係ない。
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