第3章

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「はあぁ? バッカじゃねえのかオマエ? この状況でナニ普通に道尋ねてんだよ、つーかなにオマエ迷子? だったらオマワリサンのとこにでも――」 ひとつ、銀月大牙という男はもともと気の長い方では無かったということ。 ひとつ、ここまで散々迷っておきながら必死に目をそむけていた『迷子』という言葉。 ひとつ、彼はオレンジジュースの匂いが嫌いだったということ。  最後にもうひとつ、彼の一番キライなものは猫だということ。 少年の言葉が最後まで続く事はなかった。 ゴッ! と、人間の頭を鈍器でぶん殴った様な音がした。
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