第3章

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「そういえば、詩織ちゃんはまだ戻ってきてないのか」 サイドテールが特徴の女子高生がこの場に居ないことに気がつく。 「さっき連絡がありましたよ。事務所に着くのが祭開始直前になるかもしれないと、謝っていました」 「そっか。じゃあこっちは先に準備だけでもしておこう」 相一が残った素麺を手早く飲み込むと席を立った。 「璃亜ー買ってきたやつだけど、どこに置いとけばいいんだ?」 言われた通り荷物を動かしながら、ここに居ない少女の事を考える。普段なら真っ先に集まってみんなを急かす彼女が約束の時間ギリギリになるとは珍しい。 「まあ、そのうち来るだろ」 思考を中断し作業に戻る。 当の少女は現在、街の建物の屋上を飛ぶように駆ける男の小脇に抱えられているのだが、相一はそんな事を知る由もない。
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