9人が本棚に入れています
本棚に追加
◆◆◆
幼き日のメリッサには、とても仲が良い少年がいた。
二人は近所に住んでおり、年の近いこともあってか、いつもこの古城の前で遊んでいた。
古城はその時から整備されてない廃墟と化しており、人は誰も住んでいなかった。
二人は互いに「大きくなったら結婚しよう」と約束しており、それは幼き頃の記憶だけにはとどまらず、本心からの気持ちになっていた。
そして、少し大きくなって、この契りがついに現実味を帯びてきたころ、二人は新しい目標を立てた。
「二人で大きな城に住もう」
それは、それこそは曖昧模糊な、夢や妄想に近い、実現しようとも思わないたわごとだった。
たまたま長い期間城の門前で過ごしたからであり、思いつきだった。
と、万人なら考え、思考のゴミ箱に投げ捨てたちり紙同然の事柄だったのだろう。
二人は違った。
メリッサは城を取り壊すための魔法を覚え、少年は正式に城を建築できる資格を手に入れると約束を交わしたのだ。
こうして、共通した志を持った二人は、痛覚のないいばらの道を歩み始めた。分離した線がいつか再び点に戻ることを信じて。
--じゃあ、10年後の今日、また、この場所で
最初のコメントを投稿しよう!