第1章

30/38
578人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「でも、わたしはようやく気付いたことがあります。 もし、わたしや松千代様にお館様が話されたことが、他の者の知るところとなった場合、話した相手を疑わなければならないことになる。 最悪の場合、話した身近な者を斬ることになるかもしれない。 あの方は、そのような疑念の念を持ちたくはないのですよ。 身近なものを疑いたくなどないのですよ。 ご実弟をみずから斬ったことは、今でもお心を苦しめておいでなのですよ。 何でも、ご自分のお心にとどめておくのは苦しいことかと思います。 話してしまったほうが楽になることが世の常にございましょう。」
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!