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「大丈夫よ。これはバラといってお花よ。ただ、これがあるってことは……、もしかして私のいた世界と繋がっているの?? いや、そしたらあの異形の生物は何??」
「ここで考えても仕方あるまい。一応、報告だけは国にしたほうがよいのでは??」
「そうね。ちゃんと準備はしてるわよ。国のことを考えるなんてやっぱり王様気質なのかもね」
「べ、別にこちらの世界のことなどどうでもよいわ。レイナが暮らしにくくなると吾輩も呼ばれなくなってしまうからな!!」
ふんと腕を組んでどこかを見ているギルバート。この殺伐とした空間に少しだけ笑顔が取り戻された。しかし、レイナはこの時起きていることの重大性に気付いてはいなかった。いや、気付かない方が幸せだったのかもしれない。それでも、彼女が元の世界に戻れる日は着実と近づいてきていた。
「レイナさ~ん。私たちの休日はどこへ行っちゃったんですか~??」
場所は変わってここはレイナのいる研究所。ミルはあの後、被害状況の確認を終えた後も国へ報告するための書類を同僚とずっと作っており、ここ2週間ほど働きっぱなしであった。
「私だって休んでないわよ」
そう言ってレイナは、つい先日発見されたバラの香りをもう一度確かめるように嗅いでいる。
「これで3つ目ね……」
レイナの後ろには彼女も知らないアーティストのポスターと少し古い使い込まれたエレキギターが立て掛けられている。
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