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「レイナさ~ん、こんな資料ばっか見てないで私たちもお祭りに行きましょうよ~」
涙目で作業中のミルがレイナに投げ掛ける。
「別にいいけど、せめて自分で散らかした資料ぐらいまとめておいてよね」
レイナの笑顔で返す言葉に何も言えないミル。ミルは何かを諦めたように再び黙々と手を動かしていく。
ーー1時間後。ミルの顔に笑顔が戻っていた。どうにか山のような資料を整理し終えたのである。
「よし、これで行けますね!!」
ミルは自信満々にどこか誇らしげに立っている。レイナもこれでようやく行けるかと思った時ーー。
「きゃっ!?」
耳をつんざく爆音と共に火の手が町の方から上がる。レイナたちのいる部屋にも爆発の衝撃により部屋が揺れた。
「あぁ……」
ミルの悲痛な声は今まで整理し終えた書類の山が崩れたことを示唆するのに十分であった。
「この爆音……。私は町の様子を見てくるから、ミルは他のものたちと共に被害の状況を確認するように!!」
レイナは窓から火の手の上がっている町の方を眺める。何か嫌な予感だけが彼女の中にはあったが、それを言っても仕方がないことなので心の中にしまうことにした。
「うぅ……。了解しました」
事の緊急事態にミルは落ちた書類に目もくれずに部屋を出ていく。レイナは部屋においてある書物の中から一冊だけ古びた本を手に出ていった。
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