11人が本棚に入れています
本棚に追加
「では、参ろうか」
「よろしく頼むよギルバート」
2人はお祭りの行われていた町から逃げ惑う人々を掻き分けながら逆らって進んでいく。しかし、そこに広がっていたのはお祭りの道具と村人たちの無残な姿であった。
「酷い……」
「あまり見るでない。すでに過ぎてしまったことを嘆いても仕方のないことだ」
村の爆発が起きたであろう中心部へ2人は歩いていく。道中では燃える民家や、鼻を塞ぎたくなるような異臭が立ち込めていたが、それでも足を止めることはしなかった。
「気をつけろ。この先に何かいる」
ギルバートがレイナの前に立ち、ゆっくりと民家の陰から覗き込む。
「……あれは!?」
2人が見た先には動物なのか昆虫なのかすら分からないほど、異形の形をした生物がまるで食事をするかのように村人たちを襲っていた。
「オルル、ルドゥン、ブルディア……!?」
2人の視線に気づいた異形の形をした生物はこちらを見て何かを言っているようだが、2人とも聞いたことのない言語であったため意味が分からなかった。
「ギルバート、これ以上被害を大きくしないようにお願い!!」
「御意。こやつ1匹とは限らんからくれぐれも気を付けるのだ」
ギルバートの身体が黒い煙のように揺らいで消えていく。――刹那。異形の生物の身体に大剣を差し込んでギルバートが現れた。
最初のコメントを投稿しよう!