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レイナは呼吸を整えながら村全体を見渡すと、先ほどの異形の生物は1匹だけではなかったことに気が付いた。また、異形の生物の出現した近くには必ず1つの黒い渦が出来ていた。
「ギルバート!!」
「どうした??」
レイナの呼び声に彼女の隣の大気が揺らめくと黒い霞の中からからギルバートがひょっこり現れる。
「やはり1匹だけではなかったわ」
「そうであろう。妙な気配がいくつかあったからな」
「知っていたなら早く教えなさいよ!!」
「いや、吾輩はちゃんと教えたのだが……」
怒気の籠ったレイナの声にギルバートも女性には頭が上がらなかった。
「冗談よ。ごめんなさいね。あの、転移空間を出した術者がどこにいるか分かる??」
表情を一変してニコッと笑うレイナの姿にギルバートの頬が少し赤くなったように見えた。ゴホンと咳払いして誤魔化すようにギルバートは答えた。
「残念ながら術者はこの場にはいないであろう。あの空間は異形の生物が死ぬと同時に消えるような仕組みであり、またどこに繋がってるか分からない空間には無暗に手は出せん。それはレイナも分かるであろう??」
「うぅ、そうね。ギルバートと出会ったころなら、なりふり構わずあの渦に飛び込んでいったでしょうね」
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