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レイナはこの世界にやってきてから魔法を覚えて、その知識と記憶力を武器にして転移魔法について研究しているのである。まだまだ未知数の魔法である転移魔法は自分がこの世界に来たものであり、また自分が帰れる唯一の方法であると信じているのであった。
「あのままあの生き物を放置したら町だけではなく生物系が壊れてしまうわ。残りもサクッとよろしくね」
「御意。王をこき使うなんて良いセンスをしておるわ……」
ギルバートの身体が再び黒い霧上になって溶けていく。――数分後。レイナの隣にギルバートが現れた。
「レイナよ。興味本位であの空間に手を入れてみたのだが、何ともあちらの世界には凶暴な植物が育っているのかもしれん」
ギルバートの手には一輪の赤い花が握られていた。彼の黒い手袋は所々破れており、何とも上手に棘のない部分を摘まんで持っていた。
「それは……、バラ??」
レイナはギルバートから赤い花を奪い取ると、確かにあのバラであった。深紅の花びらに色が生えるような濃いグリーンの茎。そして見かけと匂いとは対照的に暴力的な棘が茎にはついている。
「だ、大丈夫であるか??」
ギルバートは自身が少し痛い思いをして取った未知の植物を何の躊躇もなく触っているレイナのことを物凄く心配そうに見ていた。
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