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「ちょっとだけ、時間貰えないかなぁ…」
「…何?」
「ココじゃちょっと……。こっち来て」
周囲を気にしているのか伏し目がちに視線を彷徨わせ、
俺の腕を強引に掴んで引っ張って行く。
(唐木は…――)
と視線を向けると、
ケータイに夢中になっているのかこっちの様子には気付いていないようだ。
(……少しなら平気か…)
俺の腕を掴んだまま離さない――俺をクン付けする辺り同学年か3年生であろう――彼女に、小さく溜息を零した。
連れて来られた場所は渡り廊下。
この時間は利用する人間も少ないはずだ。
「ごめんね、突然…」
漸く手を離した彼女は俺に向き直って呟いた。
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