脱却③

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 謝られたら文句は言えない。 「別にいいけど。人待たせてるから、出来れば手短に頼めるか?」 「え……。もしかして、女の子…とか?」 「……いや、男だけど」 「そっか……」  あからさまにホッとされると、 これから何が起こるのか嫌でも気付かされる。 「私のこと、知ってるかな……?」 「え……」 (またこのパターンか……。正直、女子の顔とか名前なんて、クラスの奴くらいしか知らないしな…)  俺の反応にどう対応しようかと迷っているのか、 彼女はこっちの出方を気にしている様子でジッと見つめて来る。 (……仕方ない、か)  こっちが降参するしかない。
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