脱却③

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「遅かったね。何してたの?」 「……少し泳ぎ過ぎただけだ。悪かったな」  嘘をついたことは申し訳なく思うが、 また変に突かれても面倒だから仕方ない。 「まあいいけど。久し振りの部活だったし、まだ泳ぎ足りないって顔してるしね」  唐木の指摘にピクリと眉が跳ねる。 「……」 「あ、図星?…なんてね、大河のことは大体分かるよ。ずっと見て来たんだから」  その発言をされると、 少し切り出し辛くなる。 「――それで、話したい事って何?」  少し先を歩く唐木が促してくれたことに安堵しつつ、 口を開いた。 「…恋人が、出来た」  告げた直後、 少しだけ空気が変わった事に固唾を呑んでその背中を見つめる。 「…へぇ……どんな人?」 「綺麗で…優しい人だ」
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