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「遅かったね。何してたの?」
「……少し泳ぎ過ぎただけだ。悪かったな」
嘘をついたことは申し訳なく思うが、
また変に突かれても面倒だから仕方ない。
「まあいいけど。久し振りの部活だったし、まだ泳ぎ足りないって顔してるしね」
唐木の指摘にピクリと眉が跳ねる。
「……」
「あ、図星?…なんてね、大河のことは大体分かるよ。ずっと見て来たんだから」
その発言をされると、
少し切り出し辛くなる。
「――それで、話したい事って何?」
少し先を歩く唐木が促してくれたことに安堵しつつ、
口を開いた。
「…恋人が、出来た」
告げた直後、
少しだけ空気が変わった事に固唾を呑んでその背中を見つめる。
「…へぇ……どんな人?」
「綺麗で…優しい人だ」
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