脱却③

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(俺はスッキリしても、コイツはそうじゃない。分かっていたはずだけど、やっぱり堪えるな……)  ふと唐木が足を止めて、 一歩俺に近付いた。 「ちょっとお!大河にそんな顔されたら大人しく諦めるしかなくなるじゃない」 「……は?」 「まあ自分の顔なんて自分からは見えないから?仕方ないかもしれないけど。今酷い顔してるよ、大河。イケメンが台無しだ」  最後の付け足しは不要だと思うが、 はっきりと指摘されて口元が震えた。 「…や、それはお前…――」 「僕のこと心配してる?悪いとか思ってるんでしょ」 「……」 「大河って賢いはずだよねえ?こういうことになると意外と頭回らないんだね」  この発言にはムッときた。 「どういう意味だ」
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