脱却③

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「気に触ったなら謝るけど、僕の気持ちに大河が同調するのはおかしいよ。僕が辛いと思ってるからそんな顔するんでしょ?」 「…っ……」 「そんなの優しさでもなんでもないからね。逆に心外だよ。――まあ、振られてガッカリしない人間はいないだろうけど、辛いままでいる人間もそういないから」 「……唐木」  またゆっくりと歩き出す彼の後を追う。 「大河が言い難いことを頑張って打ち明けてくれたことは分かるよ。だから僕は救われたし、スッキリした気持ちもある」 「……」 「それを勝手に僕の気持ちを想像で埋めないで欲しいんだ。辛いだけってわけじゃないんだから」  またクルッと振り返った唐木の顔は、 さっきとは違っていつもの元気な笑顔だった。  それを見て、肩の力が抜けた。 (俺なんかよりも全然カッコイイよ、お前は)
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