脱却③

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 冬休みが終わり、 三学期が始まった。  唐木とは同じクラスだから、 顔を合わせないわけにはいかない。 (違うクラスだったとしても、逃げるわけにはいかないからな…。部活も同じだし、チャンスはいくらでもあるか)  今日は朝練が休みで、 重い足を教室へと向けた。 「あ、相見くんおはよー」  教室に入ると、 逸早く俺に気付いたクラスメイトの女子が声をかけてきた。 「…おはよ」 「相見くんは初詣行った?」  俺の席にまでついて来た女子が、 少し興奮気味に話す。 「相見くんってあんまりイメージないけど、見かけたって子がいてさぁ」 (見かけた…?まあ、あの人出だし、知人に見られないって方がおかしいか)  現に唐木とバッタリ会ってしまったわけだし。
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