脱却③

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「見たって言うなら、そうなのかもな」 「へ?本当に行ったんだあ!?」  そんなに驚くほど意外だろうか。  机に肘を立てて頬杖を突く。 (俺を見たなら、李煌さんのことも見ているはずだよな。変に突っ込まれなきゃいいけど……) 「なになに?何の話してんのー?」  騒ぎを聞き付けてクラスの女子が数人集まって来た。  正直、煩い。  俺は気にしない振りをして窓の外へ視線を投げた。  そんな俺にはお構いなしに話は進む。 「初詣の話―。相見くんも行ったんだって」 「そうなの?バッタリ会えればラッキーだったのにー!」 「袴だったとか?」 (そんな面倒なもの着るわけないだろ)  と、心中で突っ込んでおく。
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