脱却③

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「大河―?何してるの?廊下なんかで…」 (っ!?)  油断していたところに、 あろうことか唐木に声をかけられて体がビクついてしまった。 「え、なに?ちょっと驚き過ぎじゃない?」 「ごめん。なんでもない」 「そう?まあいいけど。おはようとあけおめー」 「…おはよ」 「中入らないの?ここ、寒いでしょ」 「あー……まぁ、入りたいのは山々なんだが……」  チラリと教室へ視線を向ける。  ここからじゃ見えないが、 室内は落ち着いているようには感じた。 「え……。んー、大丈夫だよ。僕も一緒だからさ」  俺の様子に何かを察したのか、 軽くウインクをこっちに投げて教室へ入って行く唐木。 (何が大丈夫なのかまったく分からん…)
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