化けうどん終了につき、500円

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 どうしたものか。席に座るや否や、私は悪夢のようなこの現状に頭を抱える。  店の中も店の外も自分の知る世界はそこにはなく、それこそ私一人だけおばけ達の世界に紛れ込んでしまったような感覚だった。  それでも私は、何かヒントは無いものかと、手元の品書きを根拠もなく隅々まで見通す。  でも、やっぱり何もなかった。ただ、この店がやたらと化けうどんを推していることだけは分かった。  そこで私は溜め息を一つ。  直後、少年らしき人の声が私の耳に飛び込んできた。 「あれ? この世界に人なんて珍しい。あなたも捨てられたのかな?」  その声に、思わず私はハッと面を上げた。同時に、声の主と目が合った。  血の気が引いたような薄い肌と、血潮のように真っ赤な色をした髪。  見るからに不気味な少年が一人、私の目と鼻の先で佇んでいた。  ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ 「ここはね、捨てられたもの達の魂が集まる場所なんだ」  左手に持った変なおもちゃを上下に揺らしながら、悲しそうな瞳で少年は呟いた。  結局、少年と出会った私は、彼に流されるまま店で一休みすることにしたのだ。  私としても、この世界で彼ほど親近感を抱ける人はいなかったので、内心少し安心していたのも理由の一つだ。  だけど、やっぱり彼特有の肌と髪の色は気になって仕方がない。あと、頭と背中に付いてるコウモリの翼みたいなものは、装飾品の類だろうか。 「捨てられたって、それじゃあ君も?」  少年がおもちゃを揺らす手を止めると、その先に紐でついている鼻型のマスコットからぷくぅと風船が膨らんだ。 「うん、そうだよ」感情がまるでない瞳で少年は私を見つめてきた。「だってほら、僕の容姿ってどこからどう見ても常人離れしてるでしょ? だからね、僕は親に捨てられたんだ」  そこまで聞いて、私は胸の辺りに変な蟠りが広がるのを感じた。 「でも、私は誰かに捨てられたわけじゃないよ?」  ふるふると、少年は首を横に振る。 「ううん、捨てられたんだよ。じゃなきゃこの場所に来ることなんてできないからね」
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