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猛神の降参をダイチは素直に受け入れ変身を解いた。
「猛神会長…英雄だったアンタがなんでこんなふうになってしまったんだよ。」
「…君はどこまで知っているんだ?」
「恐らく全部だ。ヒーロー協会が自分達で怪人作って自作自演してたこともボードレールで全部聞いた。」
「…そうか。騙していてすまなかった。」
猛神が顔をしかめてうつむく。
それにダイチは眉間にシワを寄せて詰め寄る。
「アンタ最初のヒーローだったんだろ。英雄だったアンタがなんでそんなことしてんだよ!」
「……。」
猛神は一瞬黙ったが、すぐに口を開いた。
「君は…うちのヒーローだったんだよな?正義のヒーローにとって一番必要なものってのは何かわかるか?」
「ヒーローにとって…正義の心とかそーゆーのか?」
「違う。」
「じゃあなんなんだよ。健全な肉体か?不屈の精神か?人を守る優しさか?」
「全部違う。」
「ならなんなんだよ。なぞなぞには興味ないんだよ!」
猛神は苦い表情をしダイチを見た。
「正義のヒーローにとって一番必要なもの…それは悪だ。」
「…悪?なんで悪が必要なんだよ。」
「少し昔ばなしをしよう。こっちへ来なさい。」
そう言うと猛神は、瓦礫で目茶苦茶になった部屋より少し奥にある、被害の少ない机に移動し座った。
「君も腰掛けて聞いてくれ。」
促されたダイチも椅子に腰掛け、猛神の昔ばなしが始まった。
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