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「…話せよ。聞くだけ聞いてやる。その後は殺す。」
大きなため息をつき、猛神は再び話を始めた。
「さっき言ったことは事実だ。十文字ハヤトにも、二階堂ソラにも会っている君には信じられないかもしれないが…二人は確実に死亡しているんだ。正式に記録として残っている。」
「じゃあ俺が会ったのはなんなんだよ。テキトーなこと言ってんじゃねーぞ!」
「それは正直私にもわからない。…話と言うのは十文字ハヤトが殉職した時のことだ。ヒーロー協会の立ち上げ2年後、異界の侵略者の生き残りを語る怪人から協会に決闘の申し込みがあった。これは由々しき事態だった。怪人も悪の秘密結社も、全ては我々の自作自演なのに…本当に生き残りかはわからないが、事実なら世間が混乱する。だから極秘裏に初期国防隊のメンバーで決闘に向かった。」
猛神が顔を歪めた。
「…あの時、私だけは会長の立場上、協会本部に残っていた…オリジナルアバドンを持つ私が参戦していれば…あんなことには…」
「結果はさっきも言った通り、十文字ハヤトの殉職だった。いや、4人中3人が殉職した。」
「…え?」
「生きて帰って来たのは1人だけだった…そいつも…加賀美もその決闘での怪我が原因で現役を引退した。」
(…加賀美…ボードレールのCEOだ。)
「なんとか討伐は成功したものの、初期国防隊の3人を亡くしたのは大きかった。結果的には加賀美も引退し、私以外誰もこの業界には残ってはいない。」
「…じゃあ俺が会った黒武者は…十文字ハヤトは誰なんだよ。」
猛神は首を横に振った。
「…それがわからない。ハルノートとか言っていたな?あれも私は何も知らない。何故死んだはずの者が今生きているのか、そして有りもしない話を作り上げて何をしようとしているのか…」
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