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猛神が続けた。
「…十文字が殉職したのが今から8年前だ。勿論メディア規制には特に尽力した。元国防隊のヒーローを殺せるレベルの怪人が存在したとしたら大問題だったからな。それでも討伐は成功している。しかし…死んだはずの十文字が悪として蘇ったなんて…そんな話はとても信じられん。」
「そしてハルノートの話もだ。確かに我々は悪の秘密結社も作り上げた。しかし、怪人もヒーロー同様に求人募集をかけて、本人の同意の上で改造手術を行っていた。そのような組織は存在しない。」
「だとしたら…君が会った十文字は何物なのか?ヒーロー協会に恨みがあるのは間違いないとは思うが…そして君の兄も…DNA鑑定までして死亡を確認している。ならば今存在している二階堂ソラは何者なのか…」
猛神は一瞬言葉を詰まらせ考え込んだ。
「…君は元々協会のヒーローだと言ったな?」
「あぁ、そうだ。」
「君はその彼等の話を信じて、命をかけて単身でヒーロー協会を潰しに来たのか?正義のために?」
「…いや、正義のためと言うより…裏切られたのが許せなくて…今までは兄貴の仇討ちでヒーローになったけど、その兄貴が生きていたし…そんでマスターや他の仲間に裏切られて命を狙われたのにもムカついて…だからこんな組織潰してやろうと思って…」
「…彼等の指示でここに来たのか?」
「…そうだよ。ヒーロー協会が本当の悪だって言われたから…でもそれが嘘だったら…俺は…俺は…」
「彼等はここに来るのか?十文字ハヤトと…二階堂ソラは。」
「…来るって言っていた。」
「なら何故今君は1人なんだ。協会はアバドンブラックを所有していると知っていたはずだ。1人で特攻させるのは危険だとわかっているはずなのに…」
「知らねーよそんなの!なんで来ないんだよ!俺が入ったらすぐに来るはずだったんだよ!」
「…君は…本当に彼等を信じられるのか?彼等の目的がヒーロー協会殲滅だとして…今更私が言うのも滑稽だが…君は利用されているんではないのか?」
猛神は複雑な表情をして二階堂ダイチを見た。
二階堂ダイチは猛神と同じく、複雑な表情を浮かべ、黙り込んだ。
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