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「一つ訊きたいことがある。」
猛神が続ける。
「アバドンシリーズの能力はソフトウェアのインストールにより完全になる。君のアバドンレッドは間違いなくフルスペックだ。ソフトウェアインストールのリスクは聞いているのか?」
「…知らないよそんなの…さっき…お前と戦ってる時に頭ん中に声が流れて…」
「…そうか。はっきり言おう。アバドンシリーズのソフトウェアをインストールした人間はその負荷に耐えられず、人ではなくなる。強化手術でもどうにもならない。脳を書き換えるからだ。」
ダイチは特に反応しなかった。
もうそんな話もまともに頭に入って来ない。
「…はじめは君を始末しようとしたが…そうか。君は…」
猛神は言葉を詰まらせた。
「…これからどうするんだ?ヒーロー協会は事実上壊滅だ。マザーを失い、アバドンブラックも使い物にならない。私はもう…自らの過ちにけじめを付けなければならないと思っている。君に接触してきたボードレールは危険だが…もう私にはどうすることも出来ない。」
ダイチはボソボソと呟くように口を開いた。
「…ボードレールに戻る…お前は…もう…好きにしろよ…」
猛神が頭を下げ、一言だけ呟いた。
「…すまなかった。」
ダイチは壊れた地下室を後にした。
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