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「有難いことにヒーロー協会は自ら破滅のシナリオを描いていた。そしてこれからのシナリオはこうだ。『悪の秘密結社ボードレールのCEOは元ヒーロー、ヒーロー協会の闇を知り、それが許せず悪を名乗りヒーロー協会の闇を暴く』…元々煙たがられていたヒーロー協会は無事壊滅し、我々はこれを公表し真に世間に認められるだろう。」
「我々のヒトとしてのこれからは安泰だ。」
「…にいちゃんは?にいちゃんはどうなんだよ…にいちゃんは本物なんだよな?」
一度上を向き、深呼吸をしてから黒武者は続けた
「遺伝子的に言えば本物だろうな。」
二階堂ダイチは全身の血液が逆流するかのような感覚になった。
「記憶も技術も遺伝子も全て二階堂ソラとして存在している。彼も同胞がきちんと捕食したからな。」
「そんな…」
「安心したまえ。君ももう我々の同胞だ。徐々に君の意識はなくなってゆき、ゆるやかに我々の同胞として成り代わるだろう。おめでとう二階堂ダイチ。」
「君も我々の『アバドン』により脳を捕食された…大丈夫だ。死ぬのではない。ヒトではなくなるだけなのだ。」
「…俺は…俺の人生は…」
「大丈夫だ二階堂ダイチ。君は大変よく働いてくれた…ゆっくり休むといい。」
「………イヤだ………こんな………こんな終わりかた……」
「さて、ここが崩れる前にヒーロー協会の裏の証拠をまとめなければならん。まだ動けんか?」
「…うん。まだちょっと違和感はあるけどひとまず体は動かせるな」
(…やめろ…俺を勝手に喋らせるな…)
「流石だ。では仕上げに取り掛かるか。」
「りょーかい!」
(…イヤだ…俺の体…にいちゃん…にいちゃん…)
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