第10章「ラインの護り」

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ーーー ーーー ーーー ーーー ーーー ーリーゼシア連邦王国帝都アスカニアー 「マスター」 「ん?」 私の横に座るフランが不意に話し掛けてくる。 休暇を利用して、件の火急の要件の為、帝都へと舞い戻って来た私とフランはレーダー家の帝都別邸から車でとある場所を目指していた。 「何故今回はアリスではなく私なのだ?」 今回はシャノンの護衛はフランではなくアリスに任せた。それでフランには私の用事に付き合ってもらっている。 「んー? アリスにはたまには友達と女子会で気兼ね無く楽しんで貰おうかと思ってさ。アイツだって立派に年頃の女の子なんだ。少しくらい平和な至福の時間があってもいい。その点お前はそう言うのに興味無いからな。まぁコッチに来てからスイーツにはえらくご執心らしいが」 「うむ。下等生物の作る菓子などと、斜に見ていたが、中々どうしてどれもこれも美味ではないか。マスター。要件が済んだ暁には帝都の美味い菓子屋に行きたいぞ」 「要件が終わればな」 「ところでマスター。何処へ向かっているのだ?」 「んー? シアーズフィールド街10番地」 「分かるように話せ」 「リーゼシア連邦王国首相官邸」 「あぁ。ホフマンスヴァルダウ宮殿と呼ばれている場所か」 ホフマンスヴァルダウ宮殿はシアーズフィールド街と呼ばれている地区にある。 その昔まだ魔国が一つの小国だった頃、貴族だったシアーズフィールド子爵が川沿いの窪地だったこの地区一帯を購入して開発し、それにちなみシアーズフィールド街と呼ばれる様になった。 後にホフマンスヴァルダウ大公がその場所に屋敷を建て、最終的にその邸宅が初代首相へと魔王から与えられ、現在に至る。 まぁ首相官邸になってから既に数百年近く経つわけだけどね。
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