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「まさか、ガキ直々に居場所を訴えるとはな!」
「殺っちゃうべ!」
「へっへっへ!旨そうだなあ、生まれたてのシマウマの脂したたる新鮮なお肉!へっへっへ!」
この赤ん坊シマウマの叫びを、母シマウマを八つ裂きにした凶悪ライオン達が聞き逃す訳は無かった。
「うーん!居ても立ってもいらねべ!」
厳つい堅体のリーダーライオンのオガリは、ムクッと起きると、周りでヘラヘラとしている手下のライオン達に命令した。
「俺に付いてこいや!行こうぜえ!」
「ういーーーっす!」
ドドドドドド!!
ガサガサガサガサ・・・
「しめしめ・・・居たぜ!!」
リーダーライオンのオガリは、興奮で鼻の孔をパンパンに拡げ、舌舐めずりして囁いた。
「どする?リーダーよお。」
「じゃあ、お前はこっち!お前はあっち!逃げられないように四方からゆっくり襲いかかれ。」
「はーい。」
がめついライオン達は、赤ん坊シマウマに悟られないように叢に息を潜めて隠れながら、少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ少しずつ・・・
じりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじりじり・・・
「ぎくっ!」
赤ん坊シマウマは、何かが迫る気配を大きな耳で感じた。
じりじりじりじりじりじりじりじりじりじり・・・
ぞわっ!
赤ん坊シマウマは全身の身の毛がよだった。
「ひっ・・・!ひいいっ・・・!!」
ガタガタガタガタブルブルブルブルブルブルブルブルブルブル
赤ん坊シマウマの体は瞼の中に拡がる暗闇の向こうから迫り来る、未知なる恐怖に体を硬直させ、ブルブル震えた。
じりじりじりじりじりじりじりじりじりじり・・・
ふう・・・ふう・・・ふう・・・ふう・・・ ふう・・・ふう・・・
獣の鼻をつんさぐきつく熱い吐息が、赤ん坊シマウマのたてがみまで降りかかってきた。
ぴと・・・ぴと・・・
頭上にヌメヌメした涎がしたたる度、赤ん坊シマウマの心臓はバクバクと破裂しそうに脈打った。
「へっへっへ!興奮するぜ!滴るシマウマの肉汁・・・!」
リーダーライオンのオガリは、ニヤニヤとペロリと舌舐ずりした。
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