12人が本棚に入れています
本棚に追加
今日も、パソコンのマウス片手に、サンドイッチなお昼。
不意に、デスクの上に置いてある、今は珍しくなってしまった、折り畳み式の携帯が震える。
美桜は、携帯を取ると、画面を開く。
ーー おねーさん、お昼食べてる~!?
ちゃんと食べないと駄目だからね~♪
午後も、お仕事頑張って!
俺、応援してるから!
あ、あと、今日の夜、ちゃんと電話するから、待っててね~♪ーー
登録はされてないし、名前もない差出人。
けど、誰だか分かっちゃうのが悲しいやら…
そうか…。
教えてしまったら最後、こうなるってことか。
白黒ハッキリさせたいだけだったけど…
まぁ、でも、これを機に携帯変えちゃえばいいのか。
…めんどくさいなぁ。
美桜は、返事しないまま、携帯を閉じた。
そして、夕方。
保育園近くのバス停に降り立つも、大輝の姿はない。
不思議な感じと、ホッとした感情を胸に、ふたりを迎えに行った。
そして、夜。
いよいよ、決戦の時。
大袈裟かもしれないけど、早いうちに、白黒させとかないと、めんどくさいことになりそうだから。
夜10時。
美桜の携帯が鳴る。
美桜「もしもし?」
大輝「わぁ~!おねーさんだ!」
美桜「あのねぇ、毎日毎日、何なの?」
大輝「何なのって?」
美桜「私に、何の用があるの?」
大輝「おねーさん、確か、ガラケーだったよね?」
美桜「は?」
大輝「スマホにした方がいいよ!
一緒に買いに行こうよ!」
美桜「そういうことね。やっと分かったわ。
どこの携帯会社の回し者なの?」
大輝「いやいやいや、俺、携帯会社の回し者じゃないから!
ていうか、言い方が回りくどかった!」
美桜「だから、何なの?」
大輝「だから…、おねーさん、一目惚れって信じる?」
美桜は、携帯を耳から離して、肩を落とす。
そして、電話を切った。
.
最初のコメントを投稿しよう!