出会い

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結局は、男を見る目がなかった。 そう言ってしまえば、それだけのことだ。 けど… あの男は、確実に私の心に爪痕を残した。 トラウマ…。 親子3人で、必死に逃げた、あの日のことを思い出すと、息が苦しくなる。 美桜は、大きく深呼吸をする。 「ママ~…?苦しいの?」 眠た目を擦りながら、4歳の男の子、葉瑠(はる)が起きて来る。 美桜「ぜ~んぜん。苦しくないよ。 どうしたの?目が覚めちゃった?」 葉瑠「う~ん…」 まだ眠たそうな葉瑠を抱っこして、寝室に入る。 そこには、7歳の菜津(なつ)が静かに寝息をたてている。 美桜「じゃあ、ママと寝よっか?」 葉瑠「うん」 胸をトントンしてあげると、葉瑠は、すぐにまた夢の中に戻っていった。 ふたりの寝顔を見ていると、まだまだ頑張れると思えてくる。 小学校に入ったばかりの菜津は、手が離れてきたけど、葉瑠は、まだまだ手がかかる。 それでも何とか、1年やってこれた。 これは、紛れもない事実なんだから、大丈夫。 そう言い聞かせて来た。 美桜「…さてと」 美桜は、重い腰を上げて、夕食の片付けと、翌日のふたり分の支度をする。 その後は、洗濯機を回して、室内干しする。 朝は忙しくて、洗濯物を干している時間がないためだ。 その他の雑用を済ますと、いつも日付が越えてしまう。 .
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