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「えーっ!渡瀬さん彼氏出来たの!?」
「マジかぁ」
いきなり騒がしくなる室内を見渡して、興味本意ではなく本気で失望している男どもの顔を頭に刻みつける。
「ね、お昼休み聞かせてよ?」
先輩女子社員にねだられ、困ったようにオレを見ながら。
「でも・・・お昼休みは青山さんを手伝う事になっていて・・・」
やんわりとかわす。
休み時間まで仕事を手伝わせるのかと、散々みんなに責められて。
「それなら堀田、お前でもいいんだぞ」
さっきの部下を、刺すような視線で見下ろすと。
「や、それはマジカンベンってか・・・ココちゃんと2人ならいいんすけど」
あたふたと逃げ口上を述べた。
「渡瀬、午後の会議の準備を頼む」
平静を装って彼女に告げる。
「分かりました」
言いながら俯いた。
「可愛そう、渡瀬さん」
「課長の頼みじゃ、断れないもんな」
阿呆か。
「すまないな、渡瀬」
下から覗き込んだ彼女の顔は、真っ赤に照れている。
湖々海はな。
照れてるんだ。
みんなに知られないよう俯いたまま、小さく頭を下げて準備に行った。
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