2 勘違い その① 青山編

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「何だ、濡れてないな」 「すみません、青山さん」 「撞(ツ)けばいいのか?」 「あん。そんなに強くしたら、壊れちゃいます」 「毎日よく濡らさないと、駄目なんじゃないか」 まだ陽の高い、午後のオフィスで。 「・・・なあんか、会話だけ聞いてると卑猥っすね」 キャップが乾いてしまって出の悪い水のりに、湖々海と悪戦苦闘。 うろんな目で見る彼を睨む。 「堀田。お前の頭の中が卑猥なんだろう」 「や、青山さんも渡瀬さんも。何か怪しいんすよねえ」 湖々海と付き合い出して、念のため社内では秘密にしているのだが。 「怪しいって、なにが怪しいんですか?」 無邪気に問う湖々海を見て、頭を抱えそうになる。 「ね、ココちゃん。カレシいるの?」 呼び方が馴れ馴れしくなった堀田に、怒りを覚え。 「下らん話をする暇があるなら、さっさと手を動かせ」 彼をひと睨みする。 「ココちゃーん。オレの事、手伝って?」 言われた彼女は、首を傾げた後。 「手伝うのは良いですけど、彼氏はいますよ?」 当然のように言い切った。 全く。天然には敵わない。
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