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≪side 青山≫
「下着をおろして・・・」
俺の言葉に驚愕の眼差しを向けた彼女は、悔しそうにきつくくちびるを噛んだ。
今さら何だ?君が望んだ事だろう。
それとも甘いセリフを囁きながら、夜のオフィスで抱かれるとでも思っていたのか。
他の女ならば、侮蔑の視線と言葉でやり込めれば気が済むはずが。
必要以上に傷付けたくなるのは。
彼女の言葉に、傷付いた自分を誤魔化すため。
「聴こえなかったのか?・・・」
苛立ちを隠せずに、更にきつく言った瞬間。
「---っ」
乾いた音が、誰もいないオフィスに響き渡り。
俺の左頬に、痛みが走る。
カシャン。ピシッ。
それと同時に、金属の擦れる音とレンズの割れる音。
「~~~っく」
ぼやけた視界の先に肩を震わせる彼女が、嗚咽を堪えるのが分かった。
彼女が身を翻す気配がして、とっさにその腕を掴む。
「イヤッ。離して!」
暴れる彼女の身体を返し、壁に押さえつけた。
「泣いているのか・・・」
頬に触れ、濡れた感触を確かめる。
眼鏡がすっ飛んだせいでよく見えない。
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