1 青山課長の夜の研修 

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≪side 湖々海≫ 青山さんの頬を叩いた後、泣き顔を見られたくなくて。 逃げようとした途端、腕を彼に取られてしまった。 「イヤッ。離して!」 暴れるわたしを、簡単に抑えて壁に身体を押しつける。 華奢に見えても。 彼が男性である事を、思い知らされ、鼓動が跳ねる。 「泣いているのか・・・」 驚いた様子の彼が、わたしの頬を確かめるように撫でて。 親指で零れた雫を、拭った。 空いた手を壁に付き、その腕の中にわたしを閉じ込める。 青山さんの綺麗な顔が、すぐ傍まで迫ってきて。 「何故泣く。君も噂を信じていたんじゃないのか?」 低く響く声と、彼の香水のほのかな香り。 眼鏡の無い彼の顔に、いつもは見られない焦りの色が浮かんでいた。 「噂って・・・時間外研修?」 彼の瞳に吸い寄せられるように見つめながら、問いかける。 「そう。俺にこういう事をされるって、噂」 甘く囁くくちびるが、そっとわたしの口を塞ぐ。 弾力のあるくちびるをそのままに。 「深夜のオフィスで俺に抱かれる・・・噂だ」 苦しげに呟いた。 ん?何その噂。
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