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≪side 湖々海≫
「青山さ---」
わたしの問いかけは、彼のくちびるに飲み込まれ。
何度も角度を変えるごとに深まるキスに、段々と思考が霞んでゆく。
彼のシャツの胸元を掴みながら、与えられる刺激に何とか耐えて。
「も・・・青山さんっ」
少しだけ離れた隙に、彼のくちびるを指先で防いだ。
「何だ」
何か問題があるのか。
そんなニュアンスの彼の問いに、返した答えが。
「く、くちびるが腫れちゃいます」
だった。
「・・・」
一瞬の間の後。
「クッ・・・ククッ。そうか。それは問題だな」
肩をゆすって可笑しそうに笑う彼を、ぼんやりとした視界で捉える。
大人女性の切り返しなんて、出来ない自分が恥ずかしくて俯くと。
「ほら、君の眼鏡」
外した眼鏡を、そっと掛けてくれた。
「研修の続きは、俺の部屋でどうだ?」
クリアになった視界にイケメン青山さんの、どアップが。
「へ、へ、部屋って」
「さっきの衝撃で、眼鏡が割れて見えん。責任は取ってくれるのだろうな」
長い指で顎を捉え、焦るわたしに囁いた---
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