[第1章]暗黙のルール

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「ごめんね、お待たせ!」 『花恵が遅れるのはいつものことだろ』 ちょっと遅れ気味に駆け寄る私を、 悟はいつも優しく甘やかしてくれる。 「また少したくましくなったんじゃない?」 『花恵こそ、肌がきれいになったね』 大学時代のアメリカ留学の影響か、 照れくさい言葉を平気で言ってくれるのが、 すごく小憎たらしい。 お互い社会人2年目で、24歳。 大学入学の頃から仲良しで 一緒にいるのが自慢の男友達だ。 2人でいるところをたくさん噂されてきたし、 正直私だって悟にその気があるなら いつだって彼氏やデート相手と別れてもいい。 彼との距離は7年間掛けてずっと縮まってきたけれど、 決して彼氏・彼女の関係にはならないのが2人の暗黙のルール。
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