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「お待たせ」
途中通過したキッチンで、雅人と同じようにグラスに麦茶を入れ、それを持って隣に座った。
「光、何かあった?」
テレビの画面から視線を動かさずに、雅人が聞いてくる。
……相変わらず、勘がいいな。
何かあったかどうか、俺自身でさえ把握していないのに。
でも、確かに胸の中で、何かが揺らいでいることには間違いない。
「いや……どうかな」
曖昧に答えると、息だけで笑われた。
「また光は……。自分のことよく見てないんだから」
「雅人が見すぎなんだよ」
今度はふふっ、と笑い声が、雅人の口から漏れる。
「そうだよ。俺は、光のこと見すぎてる」
ポン、と頭に置かれた手のひらが、優しい温かさで俺を癒す。
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