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「……で、何があったの」
熱を吐き出した余韻で湿り気の残るシーツにくるまり、うつ伏せのまま、雅人がこちらに顔を向けた。
「ん。たいしたことじゃないよ」
そのつもりもないのに、言葉にくっついて出たため息。
「……礼二さん?」
「あぁ。いつものことだろ?」
苦笑まじりに言えば、雅人がその美しい眉根を寄せた。
「また連絡が取れないの?」
「まぁな。って言っても、まだ5日だけど」
「着信やメールは残してるんだよね?5日も本命を放っておくなんてどうかしてるよ」
「今さら……。本命かどうかなんて、わからないよ」
それに、電話もメールも、3日目であきらめている。礼二からの連絡が途切れることに、俺も慣れてきているのかもしれない。
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