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でも、なんだって、俺は雅人に、こんな話をしているのだろう?
仮にも、今しがた身体を交えた相手だ――いや、正確には交わってはいないのだが。
何食わぬ顔で聞いてくる雅人も雅人だ。
しかし、こんな光景はあまりにも日常的過ぎて、俺たちの感覚はもはや麻痺している。
雅人にだって。
「尚宏(なおひろ)さんとはうまくいってるのか?」
「あぁ、ありがとう。大丈夫だよ」
にっこりと花が咲いたように笑う雅人は、本当にきれいだ。
きれいで、優しくて、理性的。
雅人の恋人である尚宏さんは、なんだって、こんな完璧な雅人を一途に愛せないのだろう。自分のことは棚に上げて考える。
尚宏さんにも、不倫の関係の恋人がいるらしい。
優しくて包容力のある雅人は、あちらでもこちらでも、恋人の恋愛相談に乗っているというわけだ。
恋人の恋愛相談。おかしな響きだ。
俺と雅人も、きちんと恋愛関係にある。
お互い言葉にして伝えているし、想い合っている確信もある。
おかしな関係。
でも、それが俺たちの日常。
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