2章 喧騒の日曜日(Side光)

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2章 喧騒の日曜日(Side光)

音信不通だった礼二から連絡が来たのは、金曜日の夜だった。 「結局、1週間か」 自室のベッドに寝転がり、誰に言うともなく吐き出した呟きは、向かいの壁に反射して自分の耳にダイレクトに響いた。 雅人も、リビングを隔てた彼の部屋で、尚宏さんと電話でもしている時間だろう。 同棲中の恋人同士には似つかわしくないのだが、俺たちはそれぞれ自室を持ち、基本的に夜は別々に眠る。一見すると、単なるルームシェアの関係だ。 ルールはひとつだけ。 この部屋に、情事の相手は連れ込まない。 仮にも恋人同士なのだ。ルールなんて作らなくても、連れ込みはしないけれど。 ベッドも別々、身体を繋げたこともない、脆弱な関係。 その関係の上にあっても、俺たちは恋人同士だ、ということを確認するためのルールに思えた。
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