2章 喧騒の日曜日(Side光)

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礼二との約束は、たいてい日曜日。 今度の計画はどんな感じだろうと、電話越しの弾んだ空気に耳を澄ませる。 「久しぶりに車で出かけよう。うまいコロッケを食わせる店を見つけたんだ」 いつだって強引に、予定を提示してくる礼二。 一度だって、俺に「どこか行きたいところはあるか」「なにかしたいことはあるか」なんて、聞いてくれたことはない。 ただ、いつだって。 うどん屋めぐりのために、片道5時間かけて車を走らせたときだって。 昼間から生ビールを飲みながら、大声出して野球観戦したときだって。 ふらりと立ち寄った公衆浴場で、のぼせてしまって帰りが遅くなってしまったときだって。 楽しくて、楽しくて。 俺の生活に、華やかな色をくれる。それが、礼二だった。 礼二と過ごす日曜日は、俺の活力を全部持っていかれそうになるくらい、いつも刺激的で新しい発見に満ち溢れていた。
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