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――礼二との出会い。
たまたま入ったバーのカウンターで隣り合わせたのがきっかけだった。
初対面からすぐに会話が弾んだ。
バーを経営していると言った礼二は、職業柄もあるのだろう、聞き上手であり、話し上手だった。
自分ではほとんどしゃべらず、相手の目を見て続きを促すように瞳で語る雅人とは違い、礼二は積極的に自分の話もしてくれた。
話の内容に引き込まれたのか、話術に取り込まれたのかはわからない。多分両方だろう。
話していくうち、お互い読書が好きで、ちょうど手持ちの文庫本が同じだということがわかった。
共通の趣味が判明し、ますます会話がはずんだのは言うまでもないが、たとえそれがなかったとしても、楽しい時間になったに違いない。
この街で出会う初対面の相手には、いつも警戒心の鉄条網を張り巡らせている俺が、一瞬も緊張することなく過ごせるなんて、奇跡に近い。
そんな相手には出会ったことがなかった俺は、この出会いを大切にしたい、とすぐに思った。
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