春が訪れた

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フロントでカギを受け取ったカップルは上階の部屋へと入って行った。 『新人、14番カメラの音声をオンにしてみろ』 副支配人の声に合せ、音声ボタンをオンに変えた。 『ほら、誰もいないから大丈夫だから』 男の声が聞こえる。 『でも……あっ……あん……』 え? 女の人の声が。 その声はだんだんと大きくなり嬌声に変わった。 これ……これって噂のカップル? 15番カメラは二人の姿を捉えていた。 ドアが少し開かれ、女の顔が廊下を向いている。 『全く、こいつらはカメラの存在を知らないんだろうな』 副支配人の苦笑いを浮かべモニターをみている。 なんだろう、このドキドキは。 映像と音声が私の中心を揺さぶる。 身体の芯が熱くなる。 男は女を煽り、女は悲鳴に似た声を発していた。 顔がドンドン熱くなるのを感じる。 すぐ近くには副支配人がいるのに。
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