その咲きの向こうへ

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 冷静で居られたはずが無い。  そんな僕をハッと我に帰させた最初の音はとても大きな衝撃音と爆発音のような大きな音。  音の原因を追究する為に椅子から飛び上がり、教室を出て、大通りに面している窓から外を見る。  まだ誰か居るんだと言う望みをかけて。  次々に響く破壊音。  ぶつかり合う自動車、バイク、無人で走り続け段差で大きく跳ね上がって倒れた自転車。  遠くから煙が上がってるのが見える。  戦争映画で聴いた様な激しい爆撃音のような音まで聞こえる。  飛行機が墜落したのだろうか?自衛隊の戦闘機?ミサイルまで爆発したのかな?色々錯乱したが一つだけ、確実な事として僕は結論を出した。  人類は僕以外居なくなった。  急激な不安感に僕は襲われていた。  テレビや映画では物語と言う話の中で、人の命が簡単に消えていく。  人の命には限界があり、病気にならなくても、事故にあわなくても、寿命と呼ばれる命の劣化である確実な死が訪れるから、誰もそれに疑問を抱く事が無い。  疑問を抱くも何も、まず生命の維持とは命の搾取であり、生命が生きて行く上で死はその生を伸ばす為に用いられる事の方が多い。  日々の食事の中でそう感じる事すら出来る僕でも、流石にこの光景を目の当たりにすると、どうしようもない不安感に襲われるのだ。  現実と言うのは軽く人の想定を上回る。
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