その咲きの向こうへ

14/47
前へ
/47ページ
次へ
 もっと最悪の状況を考えないと駄目だ。  人が居なくなって何が起こる?まず僕はどうすれば良い?  すぐ近くで爆発音が聞こえた。  もう一度窓から外を眺めてみる。  何処が爆発したのかなんてもうわからない。  それ所か、遠くに見える景色では、至る場所から黒煙が上がり始めていて、火災報知機のジリリンという音が色々な方向から聞こえてくる。  一手遅れてしまった気がした。  安全な所に身を隠すなんて悠長な考えでは駄目だったのだ。  僕が一番最初にするべき事は、この都内から脱出する事。  地下に隠れていようが何をしようが、都内は確実に炎に包まれる。  今、行動を起こさなくては、ここで焼き尽くされるだけだ。  その考えと同時に体が動き出す。  階段を駆け下り、下駄箱が並ぶ正面玄関でスニーカーに履き替えて正門をめがけて走り出す。  大通りはまだ危険か?正門付近で何処かに何か移動できる乗り物を探すと、そこいら中に自転車が転がっていた。  まずは自転車を拾い上げて、小さな脇道に入り、新聞配達や、郵便配達で使われていただろうバイクを探す。  しかし、小さな狭い道路ですら車が道を塞いでしまっている。  道幅から、それほどスピードは出していなかったのだろうか、衝突している民家の外壁にはそれほど酷い損傷は無い。  その車の後に更に車が追突しており、小さな道で車がゼロ距離で渋滞を起こしていると言う奇妙な事態。  勿論、ぶつかっているので、渋滞というよりは玉突き事故なのだが、乗っている人が存在しない車からはクラクションや怒号も何も聞こえない、本当に渋滞してるかのような感覚なのだ。
/47ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加