その咲きの向こうへ

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 細い道では、ほとんどの車は軽くぶつかっただけなのでエンジンは未だに掛かっている状態、前の車に進むのを止められていると言う事だけで停車中。  僕は自転車から降りて車のボンネットの上に乗り車を乗り越えて、また新しい自転車を拾って細い道を走る。  国道のような大通りに併走している、裏道をクネクネと迂回しながら、自分の実家のある東京二十三区都下に向かってひたすら移動を開始した。  鍵の付けっ放しのバイクは新聞配達所で簡単に手に入ったが、やはり道が塞がれている箇所が多くてバイクでの帰宅は非常に困難だった。  それでもそれに乗り、新宿に着いた頃には酷い有様で、火災は既に大規模になっており、色々なビルからガラスの雨が降り注ぐ状態。  僕は事故車だらけの国道沿いの意外と広めな歩道をバイクで走り、その場からすぐに離れた。  極力車道を走り、建物からの落下物に注意をしながら、車が団子状態になってる場所では歩道を走るといった形でなんとか地元まで辿り着いた。  東京都調布市。  京王線南口はそれほど酷い有様ではなかったが北口はバスのロータリーもあり、少々事故が多かった。  一番懸念していた調布飛行場のセスナの墜落も上空に不自然な火災の後、やたらと派手な黒煙が無い事から、どうやらここでは起きていない。  駅から更にバイクで10分掛からない程度、調布でも多摩川沿いにある僕の家には幸い目立った火災は発生していないようだし、鶴川街道と土手沿いの道はトラック系の事故が多発してて燃料が漏れていてもガソリンとは違う揮発性に乏しい軽油な為に大きな火災には至っていなかった。  家の近所では近くの交差点で車が一台壁にめり込んでいたが、電線に影響等はないだろうと思う。  信号がまだ点灯しているので通電はしているのでそれは解る。  さて、ここからだ。
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