その咲きの向こうへ

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 しかし、頭が回らない。  痛烈な脱力感に襲われ、僕は居間のソファに深く座り、首を後に倒しながら天井を見上げる。  昨晩寝る際に切り替えたのだろうか、シーリングライトのLEDが小さな茶色い光を放ち続けている。  その豆電球設定が未だ切られていないのが凄くだらしないと思った。  僕は親のこういう所が大嫌いだったんだ。  朝になり、日の光が差し込み、周りを明るく照らしてくれるのならば、例え小さく気付き難くとも、きちんと電気ぐらい消して欲しい。  その時、ふと、思う。  別に僕は完璧主義というわけでは無いし、潔癖症でもない。  なるほど、ただ疎いと思う人間の揚げ足を取りたかっただけなんだろう。  それをこの電灯の小さな光が僕に教えてくれた。  自然と笑いがこみ上げてくる。  こういう場合の笑いは、過去の自分が馬鹿であったと認識した時の照れ笑いのような物なので嫌いな笑いじゃない。 「フフフ…電気を大切にね…って、今更誰の為に?」  直視できない苛烈な現実への精一杯の皮肉のつもりで、つい口から漏れた一言だった。  何気ない独り言だった。  そんな何気ない独り言が人間の本能なのだろうか?よく解らないが、僕の中にある生存する為の能力をフルに掻き立てたのだ。  まず気が付いた事として、この家にもまだ送電はされているのが解った。  そこから様々な思考が脳内を駆け巡り、出来うる限り思索する。  結論として、まだ終わる訳にはいかないと言う事を感覚的に感じ取り、すぐに行動に移す為立ち上がった。  だって僕は今まだ生きているじゃないかって本気で思っていたんだ。
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