ありえぬ郷愁

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 あまりに、リアルな母の感触……これは、本当に夢なのか……?  なんにしても、目が覚めなければ、この世界から戻れない。  授業参観か……なんで、夢の中まで、そんなイベントが設定されてるんだ?  どうせ、夢なんだから、学校なんて行かなくてもいい気がする。  けれど……もし、これが夢ではなかったとしたらどうなる?  フローチャートどおりに、進行しないと、何かしらの不具合が発生するのでは?  とりあえず、当時と同じように生活してみるか。  服を着替え、時間割どおりの教科書とノートを用意し、ダイニングに向かう。  当時の自宅は、3LDKのマンションだった。  食卓には、父がいた。当然、父も亡くなる前より歳が若い。  朝食のメニューは、トースト、コーヒー、サラダと、まるで喫茶店のようなメニュー。  父は相変わらず、飯時にも関わらず、タバコをくわえ、新聞に目を通している。 「おはよう」  父に挨拶したのは、何十年ぶりだろうか?  特に反応もなく、新聞に釘付けの父。 「お父さん、タバコ吸いすぎだよ」  できるだけ、子供らしい口調で言ってみた。 「これ以上タバコ減らしたら、お父さんは死んでしまうよ」  無愛想に、口だけ動かす父。  期待どおりの言葉。そう言うと思ったけど。  まぁ、いまさら言っても仕方ない。もう、とっくに、お亡くなりなってますから。
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