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壁の時計を見ると、八時を過ぎている。
急いで食卓につき、トーストにバターをぬり、かぶりつく。それを、コーヒーで流し込む。
サラダも、かきこむように食べる。とにかく、時間がない。
ランドセルを背負って、バタバタと玄関へ。
しかし、この歳になって、またこんなもの背負う羽目になるとは……複雑な心境だ。
朝食もそうだが、しっかり味もしているし、夢にしては、リアルすぎる。
あの扉の絵の、向こう側の世界なのか……?
それとも、仮想現実……だとすると、だれが、いったい、なんのために……その疑問が解決されないと、どうしようもない。
第一、自分の小学生時代の個人情報を、ここまで正確に再現できる人物はいないはず。
しいて言うならば、自分だが……こんなシステムをプログラムした記憶はない。
玄関の近くには、これも博物館に展示されているような、ダイヤル式の黒電話がある。
たぶん、ほかの電化製品なんかも旧式だろうが、 のんびり見ている時間がない。
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