風前の灯火

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  ガキのころから、ゲームが好きだった。  やるのも好きだが、作るほうにも興味があった。  やりたいゲームは、自分で作るほうが手っ取り早い。高校のときに、バイトして資金を貯め、パソコンを買い、独学でプログラムの勉強した。  毎月出る、プログラマーのためのパソコン雑誌を貪り読み、簡単なゲームから実作する。  出来たゲームを、雑誌に投稿。やがて、常連たちと横の繋がりができ、同人にも参加。  気の合う仲間との連帯感……やりたいことと、その結果が連動している。  高校卒業後は、専門学校ではなく、一般の大学に入った。その傍らで同人のツテで紹介された、小さなパソゲーの会社でバイトしながら学費を稼ぐ。  大学は卒業する気でいた……けれど、そのあとのことが漠然としていた。  バイト先の会社が、即戦力として率いれたいと言ってきた。そのときに、自分の道はこれしかないと自覚した。  大学を中退して、小さなパソゲー会社に勤めることに不安はあったが、それよりもゲーム作りに対する衝動のほうが勝っていた。  両親は、特に反対しなかった。自分の好きにやらせてくれた。自分の人生に、口を挟むようなことはしない。いまだに、両親には感謝している。
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