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一般的に【扉絵】とは、書籍の表紙の見開きにある、挿し絵のことだが……洒落のつもりだろうか?
なんにしても、おかしな絵だ。
扉はよく劇場とかで見かけるような両扉で、流線型の模様が描かれている。かなり、リアルな質感があり、まるで扉そのものを、額縁で被っているかのような、そんな感じがする。
「面白い絵ですね、扉しか描かれてないなんて」
「この建物、前は喫茶店だったんですが、その店を居抜きして買い取ったときに、その絵が飾られていて……」
たぶん、前のオーナーが所有してたのだろうが、処分するのも面倒なんで、置いてったのだろう。
「すみません、あっちのテーブルに移動していいですか?」
「構いませんよ」
絵がよく見える、テーブル席に移動する。
なぜか、この絵に呼ばれたような気がした。
この、扉のむこうには何があるのだろう……。
愚にもつかないことを考える。
バーテンがカクテルを運んでくる。
グラスの中には、透明感のある、青やオレンジの液体が注がれている。
酒の種類はよく分からない。普段、バーなんて来ないから、知識も何もない。
「ごゆっくり……」
笑顔を残して、去っていくバーテン。
グラスに口をつける。
かなり、キツイ……。
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